Introduction
- まえがき

約10年前、私はウエディング業界に入りました。
結婚・出産を経て表だった仕事をしていなかった私は、手に職をつけねば、と、
ヘアメイクや着付の免許を取得した後、とある衣裳屋がスタッフを募集していたので早速応募し、
やる気満々で面接を受けに行ったのでした。

そして待ちかまえていたのは…

「結婚し子供がいるのでは使い物にならない、着付けの資格を持っていても何の役にも立たない、
今時着物は着ないのにetc.」

と延々20分、説教のような話を聞かされ、やる気満々だった私の気持ちを
見事な程ペチャンコに潰してくれたのが始まりでした。

今、「少子化だ」と叫ばれ、女性が子供を産まない(産めない?)時代になったのも、
こんな面接官のおかげだと今でも思っています。

出鼻をくじかれながらも、ウエディング業界の募集を見つけては応募し、
ようやく子持ちの私を働かせてくれたプランニング会社。
今、私がこの業界で楽しく仕事が出来ているのも、全てこの会社のお陰です。

業界に携わって今春で丸10年になりますが、この仕事をしながらずっと思っている事がありました。

何百組のカップルの相談を受けてきて、彼らを通して見えて来るのは、
結婚式にまつわる様々に「不透明な部分が余りにも多い」事。
そしてとにかく相談や悩み、トラブルがあるのは、「プランニング」がらみがほとんどなのです。

具体的にいうと、プランニング料金を未だ明確に示さなかったり、
「プランニングが出来る」と言いながら、各付帯商品の紹介しかしてくれない、
肩書きだけの”なんちゃってプランナー“等。

この業界にいる私が言うのもおかしな話ではあるけれど、消費者が賢くならないと
「詐欺」のような事が当たり前で、平気で行われる世界。

新婦から泣きながらの相談を受ける度「利用者側が、プロデュース会社に『え?ちょっとおかしくない?それが普通なの?』と疑問を持ち、トラブルになる前に早く気が付いて、相談してくれたら…」と、
思わずにはおれません。

結婚は殆どの人が初めての事。
確かに解らないのが当然ではあるけれど、もっと結婚式にまつわる様々を調べ
(かといって、専門雑誌などの一方的情報をウノミにするのも、正直「?」なんですよ)
そして自分がしたい事や希望、そして最終的な予算をある程度決めて、
言われるがまま受け入れるのではなく、一生思い出に残る結婚式をすてきな思い出として、
二人そしてゲストの心に残してもらいたいと、願って止みません。

…と、こんな事を理解し、つつみ隠さず載せてくれるのは、*にーにゃしかないと思い(笑)、
この場をかりて出来る限り、結婚に関する「真実の情報」を発信していこうと考えました。
これから「挙式選び」を始める方、いつかは「結婚式」を挙げる方への参考になればと思います。

では早速、具体的な例を挙げながらお話しますね。

私が昨年受けた「”大学“で挙式をした」という、
ちょっと特殊ですがその時のお話です。

私達が主催したレストランでのブライダルフェアで、
別のブライダルフェアに向かっていたお二人がたまたま飛び込まれたのが、最初の出会いでした。

その時、すでに新婦が依頼を申し込んでいた、とあるブライダルプロデュース会社。
新婦は「二人が出会った大学で、結婚式をしたい」という希望を持っていたので、
その会社の「ウエディングプランナー」という肩書きの方に相談をしたそうです。
すると「衣裳、花、引出物などすべて自社の提携先で手配することが条件なら、
プランニングをする」という話。

しかし、新婦はすでにドレスも別の所で発注済み、引き出物なども自分達で選んで、というつもりでした。それでもやはり「大学での挙式」をプランニング&プロデュースしてもらうには「仕方がない…」と、
自分たちが予定していた様々の半分を諦め、お願いする事としました。

それから、具体的な話しをすすめる為にプランナーの方に相談すると
「2人で考えてみて」「2人で交渉してみて」
など、企画どころか提案もなく、全く動いてくれない。

新婦は「なんで?交渉などは私たちがする事なの?」と悩んでいた矢先でした。
そこで私は「この会場でするには何が必要で、どこに交渉しないといけない」という一覧を作って、改めてそのプランナーに詰めてみる事を勧めました。すると、驚くような答えが返ってくるのでした。

----筆者紹介

林 嘉津美
NPO法人全日本ブライダル協会認定
ウエディングプランナー/ウエディングプロデューサー/シビルウエディング/エグゼクティブディレクター
福岡県生まれ。
ウエディングプランニング歴10年のキャリアを持ち、全日本ブライダル協会主催の全国大会で優勝する実力を持つ、
現役で活躍する、妥協なきウエディングプランナー。
その巧みな交渉力と笑いで、依頼を受けたカップルから厚い信頼を得、ウエディングプランニングの仕事のほとんどは、
カップルからの紹介と手がけた式に参加したゲストから依頼を受けているという、実力派。
頼りになるオネエさんというより、頼れる「カァちゃん」という言葉がしっくりする。(笑)
「消費者が賢くならねば、"正直ものが、バカをみる" 」という悲しい現実に、
「読者には、本当の事を知って欲しい、賢くなって欲しい」という思いが編集長と意気投合、今回の企画に至る。
今年4月、建築やウエディングをプランニングする異業種の集った会社(有)羅針盤に所属。
ウエディングプロデュース&プランニング「ヴィヴォラシータ」代表。
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